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* tag: 労働者派遣制度の改正  厚生労働省  労働政策審議会  派遣  社員 

* category: コンサルタント

「労働者派遣制度の改正」の問題点に関する考察 

1月29日に厚生労働省の労働政策審議会が発表した「労働者派遣制度の改正」に接し、悲嘆に暮れた方は多いでしょう。わかりにくい文章で書かれた今回の改正を簡潔に記すと、下記のようになります。

1.登録型派遣・製造業務派遣の復活
2.派遣元会社は許可制に一本化、優良会社を認定・推奨するとともに悪質な業者の指導を強化
3.26業務区分の撤廃
4.派遣社員の同一派遣先への勤務期間の上限は3年のまま
5.派遣先企業が3年を超えて派遣社員を活用する場合には労働組合の意見聴取が必要
6.派遣社員と派遣元会社間における無期雇用契約が選択可能
7.派遣先企業における派遣社員と正社員間の「待遇」「教育訓練」「福利厚生」の均衡化の推進
8.派遣元会社による派遣社員の計画的な教育訓練の実施の義務化


これらの改正の良い点と問題点を見てみましょう。


良い点は、2,6,7,8 が該当します。弱い立場の派遣社員を守るという観点から、この4項目は一定の評価をしても良いと考えますが、問題もあります。

2.に関しては、業界内で確固たる地位を占めた企業に対する優遇措置ともいえる点は問題です。許可制になることで、厚労省との関係構築が重要になることが予想されます。健全な競争環境の維持と、官民の不正や癒着などを防ぐ体制作りが必要でしょう。

6.に関しては、派遣元会社による優秀な派遣社員の囲い込みと、それ以外の派遣社員の選別が進むおそれがあります。無期雇用を働き方の選択肢として用意したのなら、希望者全員が選択できるルールも同時に導入することが望まれます。

7.と 8.に関しては、努力義務が課されるのみという点が残念です。教育訓練の義務化に関しては、派遣元会社だけでなく派遣先企業にも義務を課すべきです。知識習得とスキルアップは派遣社員の賃金引上げの根拠となり得るだけに、派遣元会社における教育訓練は無料実施が必須です。派遣先企業においても、希望者全員に正社員と同じ教育訓練を実施すれば組織全体の生産性向上に結び付くのですから、国がそれを支援する方策を用意すべきです。


次に、問題点です。ここからは、現在派遣社員の方々が直面している諸問題とも絡めて考えてみましょう。


派遣社員が抱える問題点は、「不安定な身分」「正社員になれない」「低賃金」の3点に大別できます。雇用期間中でも一方的に契約解除されたり、懸命に働いても正社員に登用されることもなく、契約当初の時給のまま満了を迎える、という具合に、派遣社員は働きがいも感じられず、低賃金のため人生設計さえままならない状況に追い込まれ、人間性を無視されて使い捨てされている実態があります。

本改正で、これらの問題を解決することができるでしょうか。

まず、「身分」に関しては、4.で上限3年を維持し、それ以上の契約を希望する場合の推奨規定も従前と変わらず努力義務に留めています。また「契約満了直前で雇い止めして、数か月日時を空けてから再び同じ職場で派遣契約を結ぶ」という派遣先企業のグレーな手法の防止策も用意されていません。

次に、「正社員になれない」ことに関しては、就職支援策が準備されてしかるべきですが、7,8 でやっと教育訓練の努力義務が課されただけで、具体的な方策に関しては触れられていません。紹介予定派遣があるにはありますが、第二新卒に事実上限定されているため、結婚、出産・育児を経て社会復帰しようとする女性に対する支援は皆無と言ってよく、キャッチアップ機会さえ得られない状況が変わる兆しはありません。

「低賃金」に関しては、昇給による待遇改善があればモチベーション向上が期待されますが、努力義務に留め置かれました。生産性向上には報酬で応えるのがルールですから、正社員は毎年ベアや定昇を要求する訳ですが、なぜ派遣社員の昇給は実現されないのでしょうか。派遣社員が納得できるだけの合理的な理由は見つかりません。


これらの諸問題を解決する道筋を切り拓くべき本改正案に、実効性の高い方策が示されているとはいえません。


頼みの綱であるはずの労働組合は、正社員の雇用確保と待遇改善に血道を上げるばかりか、派遣会社を3年を超えて利用する場合には労働組合による聴取を経なければならないとする規定を盛り込むという愚策を打ち出す始末で、派遣社員を正社員の既得権を侵害する存在としてとらえ、切り捨てています。

しかし、正社員の方々も他人事ではありません。今は正社員で働けているとしても、結婚、出産、育児、病気や怪我による療養、親族の介護などがきっかけて退職せざるを得ないケースは年々増えています。特に働き盛りの40代男性が両親の介護で休職せざるを得ないケースでは、その後の職場復帰は事実上叶わず、40代で派遣社員やアルバイトにならざるを得なくなる可能性があります。もしそうなれば、自分の人生だけでなく、子供達の人生にも多大な影響が生じる事態にたちどころに追い込まれるということを認識しておく必要があります。


前回「今後の日本を支えるには女性と高齢者の力が不可欠である」とコメントしました。派遣社員の多くが女性であることを考えれば、彼女達が意欲的に働ける環境整備こそが喫緊の課題であることは否定しようのない事実です。にもかかわらず、雇用のダイバーシティを無視し続ける労働政策には、先進国として具備すべき視座が欠けているばかりか、国力を衰退させたいとでも考えているのかという危惧の念を抱かざるを得ません。この懸念を払拭する派遣社員の方々への支援策が打ち出されるのを待ちましょう。
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